■知れば知るほど引き寄せる!妊娠力UP@基礎知識講座
今回はキャッチアップ障害について解説してまいります。
キャッチアップ障害とは、卵子を卵管に取り込む卵管采が機能しない状態の事を示します。
せっかく排卵したのに、精子の待つ卵管膨大部に取り込まれなければ、妊娠出来ないという訳です。
●卵管采について
卵管采とは、卵管の先にある部分で、手のひらを広げたような形をしております。
そして、排卵に合わせて卵巣に近づき、卵子を卵管内に取り込むと考えられています。
●なぜ卵管采が機能しないのか?
最も多い理由は、卵管の癒着によって、卵管が動けない状態になっているために卵巣に近づけなくて取り込めないのではないかと考えられています。
それから卵管自体に炎症があり、それによって機能不全を起こすようなケースもあります。
ある講演でドクターが言われていたのは、年齢による卵管采の動きの低下もあるのではないかということです。
「20歳で走ることと35歳で走るとしたら、やはりその走力は年齢によって落ちるでしょ、卵管采も同じ事なのです。」と解説をされていて、なるほどと思った次第です。
●どのような検査をすれば良いのか?
卵管の癒着をチェックするためには、腹腔鏡検査が適しています。
ただ、腹腔鏡検査は麻酔をする検査ですので、誰もが気軽に検査するものではありません。
よって、子宮内膜症を疑われる場合や、明らかに何か腹腔内の異常を予想できる場合に活用されます。
妊娠を目的としているので、先生方によっては、キャッチアップ障害を疑う場合、体外受精を勧めるドクターもおられます。
◆ 腹腔鏡検査とは?
腹腔鏡とは、お腹の中(腹腔)を直接観察する直径1㎝程の内視鏡です。
おへその下を1~2㎝前後切開して、お腹を炭酸ガスで膨らませてから腹腔鏡を挿入して、腹腔内の様子をテレビモニターに映して観察し、さらに小さな傷を何個かつけて穴を開け、鉗子という細い器具を使用して行う手術です。
腹腔鏡検査を行うと、腹腔内と骨盤内の臓器を実際に見て判定することができます。
腹腔鏡検査は、卵巣や卵管、その周辺が正常かどうかを検査する方法です。
医師は、癒着やそのほかの問題点があるかどうかを同時に評価することもできます。
この検査の利点は、子宮内膜症や癒着が確認されたときに、その場で治療をすることができることです。
レーザー治療または焼灼を行い、子宮内膜症や癒着を「切除」することができます。
腹腔鏡は、ほかの手技よりも直接的に卵管を検査することができます。
色素を子宮に注入することにより、医師は卵管の先端から色素が流れ出てくるかどうかを見て、卵管が通っているのか、または詰まっているのかを評価することが可能になります。
●キャッチアップ障害の治療法
卵管の癒着が原因だった場合、前述の腹腔鏡検査と手術がその治療法になります。
それらの検査によって、片側の場合はまだ、可能性があるので、他の治療が選択できますが、両側の卵管の状況があまりおもわしくないようであれば、体外受精がその治療法となります。
卵管の癒着が原因だった場合、前述の腹腔鏡検査と手術がその治療法になります。
それらの検査によって、片側の場合はまだ、可能性があるので、他の治療が選択できますが、両側の卵管の状況があまりおもわしくないようであれば、体外受精がその治療法となります。
●自分で改善できる事はないのか?
ピックアップ障害が癒着や炎症で起きている場合は、物理的な問題なので、医師の治療をきちんと受けて原因を除去する必要性があります。
しかし、場合によっては年齢の問題や便秘による卵管の圧迫、ストレスなどによる卵管の動きの抑制なども可能性が考えられると思います。
それらの原因を考えた時に、
・便秘の解消
・アンチエイジング的な生活
・ストレスの解消など
自分で行えることがいくつか考えられるかと思います。
それから、漢方や鍼灸治療によって、このピックアップ障害を治療されているケースも見受けられますが、基本的に癒着によるものは意味がありません。
逆に原因が癒着ではなく、機能面に問題がある方で、ストレスが多い方にとっては1つの解決法になりうるのかなと感じる次第です。
<最後に>
いつも思うのが、身体の中で無意識に行われている活動によって身体って成り立っている訳で、妊娠についてもこのような卵管采の卵子の取り込みがスムーズに行われているから成り立つものだと分かります。
ほんと不思議ですよね。
うまく機能しないというのは何かの原因がある訳で、出来ればその原因を明確にし、的確な治療を行う必要性のあるものだと思います。
今回はあえて解説しませんでしたが、卵管本体のトラブルによって不妊になるケースは多いのです。
次回は、その卵管の問題について詳しく解説出来ればと思います。
■コラム執筆 池上文尋 氏
オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。