監修ドクター
産婦人科クリニックさくら 院長
桜井明弘 先生
順天堂大学卒。同大学産婦人科学教室、賛育会病院の産婦人科管理医長などを経て、神奈川県横浜市にクリニックを設立。大学院在籍中に「世界体外受精会議記念賞」を受賞。「あなたが33歳を過ぎても妊娠できない44の理由」を執筆。
目次
~ 基礎体温表(グラフ)について ~
お困りごと逆引き
ちゃんと測れてる?基礎体温・・・・。
自分の表(グラフ)について
こんなとき、どうすれば!?
ひとたび、月経(生理)の悩みや不妊治療に足を踏み入れると、今まで知らなかった事柄がたくさん出てきますよね。
右も左もわからない状態の中で、それらの情報を取捨選択していくことはとても難しいことです。
また、月経不順(生理不順)や生理痛、不妊という大変デリケートな話題ということもあり、気心知れた友人や職場の同僚などに相談するという機会に恵まれないかもしれません。
“基礎体温”も、そのうちの一つではないでしょうか。
毎日、基礎体温をつけたほうがいいらしいけれど…
「どのように測ったらいいのかな?」
「いま持っている体温計でもいいの?」
「どんな良いことがあるのか知りたい!」
今回は、基礎体温という言葉を初めて聞いたばかりの方や不妊治療初心者の方から既に、基礎体温をつけ始めているという経験者の方まで、今一度、基礎体温について丸ごと見ていきたいと思います。
妊娠を意識した女性であれば、基礎体温という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
わたしたちの体は、起きているときはもちろんのこと、寝ているときもエネルギーを消費して活動しています。
とはいえ、走ったり仕事をしたりといった時と比べると、そのエネルギーは格段に少なく、体温も一日のうちで最も低い状態となっています。
そして、このときの体温が基礎体温と呼ばれているものになります。
妊娠を意識した女性であれば、基礎体温という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
わたしたちの体は、起きているときはもちろんのこと、寝ているときもエネルギーを消費して活動しています。
とはいえ、走ったり仕事をしたりといった時と比べると、そのエネルギーは格段に少なく、体温も一日のうちで最も低い状態となっています。
そして、このときの体温が基礎体温と呼ばれているものになります。
本当は、寝ているときの体温を測りたいところなのですが、そんなことはできないですよね。
そのため、基礎体温は朝、起きて動き出す前の体温を測るようにしているのです。
女性の体温は常に一定ではありません。月経(生理)や排卵といった妊娠にとって大切な体の変化は、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響を受けて起こっています。このホルモンの変化によって、基礎体温が変化しているのです。
女性の体は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)というふたつの女性ホルモンの影響を受けて変化しますが、その変化は一つの月経(生理)周期の中で4つの時期に分けることができます。
エストロゲンの分泌が増え、卵胞が発育、成熟していく時期です。
子宮内では、子宮内膜が肥厚して受精卵を迎えるための準備が進められています。
成熟した卵が排卵する時期です。
このときに精子と出会うことができれば、受精卵が誕生します。
プロゲステロンの分泌量が増えていく時期です。
受精卵の着床を助けるために、子宮内膜はさらに厚くなっていきます。
受精卵が着床せずに、不要となった子宮内膜が体外へ排出される時期です。
プロゲステロンやエストロゲンの分泌量も低下します。
プロゲステロンには体温を上げる働きがあるため、その分泌量に応じて基礎体温に変化が見られます。
具体的には、4つの時期のうち、月経期(生理)と卵胞期は体温が最も低い期間、すなわち低温期と言われる期間にあたります。そして、排卵期にはプロゲステロンの分泌量が増え始め、その分泌量がピークに達する黄体期には、体温が高い期間、つまり高温期に突入するのです。
では、なぜ基礎体温を測ることが大切なのでしょうか。
それは、基礎体温から“月経(生理)周期を知る”ことができるからです。
あなたがもし、月経(生理)不安を抱えたり不妊だと感じて病院へ行ったとき、普段の月経(生理)の様子や周期などについて聞かれるかと思いますが、それだけではわからないことも、たくさんあります。
でも、受診時に3か月分の基礎体温表を持参することができれば、月経(生理)やホルモンの状態を知る手がかりとなってくれますので、より早く不妊の原因をつかむことができます。不妊治療は早めに取り組んだ方が妊娠率は上がりますので、これは大きなメリットになります。
さらに、基礎体温が隠れた病気を教えてくれることもあります。
月経(生理)の乱れや異常、不正出血など、子宮や卵巣は外から見ることができない分、不安も募るものです。受診しても一度の診察ではわからないこともあります。
そんなとき、普段の月経(生理)サイクルやホルモンの変化がわかれば、原因を特定しやすく、いち早く適切な対応を取ることができます。
そして、基礎体温は妊娠を希望する女性や、疾患の特定だけにメリットがあるわけではありません。自分自身の月経(生理)周期を知ることで、体調の変化が予測でき、日々の生活に役立ちます。
例えば、月経期を過ぎて排卵までの期間は、女性らしさを形づくるエストロゲンの分泌量が増え、心身ともにハツラツとした状態になります。
お肌の調子もよく、ダイエットにも適した時期だと言えるでしょう。
一方、月経(生理)前になると、イライラや体の不調などPMS(月経前症候群)がみられるようになります。
ゆったりした気持ちで過ごしたいこの時期には、予め、無理をしないスケジュールを立てるといったこともできます。
このように、体の変化を知っておくと、仕事や家庭でも工夫をして快適に過ごすことができるようにもなります。
どの家庭にもひとつはある体温計。風邪で熱が出てしまったときなど、病院へ行くタイミングを見計らい、市販薬を服用するかどうかの基準として使っている方がほとんどではないでしょうか。
「自分の月経(生理)が気になるから、まずは家の体温計で測ってみよう!」や「子供が欲しいから、まずは基礎体温を測らなくちゃ。そうだわ!うちには体温計があるからわざわざ買わなくても大丈夫かしら…。」
と思っているあなた。
ちょっと待ってください。
一見、普通の体温計と同じように見える基礎体温計ですが、実は、大きな違いがあることをご存知でしたか?
女性の体温はホルモンの影響を受けて、約28日のサイクルで変化しています。その体温の変化から、女性ホルモンの分泌や排卵の有無、月経(生理)の予測などが行えるわけですが、実は、高温期と低温期の差は、0.3~0.5℃ほどしかありません。
今度、お手持ちの体温計をみていただきたいのですが、おそらく36.5℃といったように小数点以下は1桁となっていることに気付いていただけるでしょうか。
一方、基礎体温計は、小数点以下が2桁まで表示される仕組みになっていますので、普通の体温計では見えない小さな変化も知ることができるのです。
基礎体温計は、様々なメーカーから数多くの種類が販売されています。その内容については後述しますが、普通の体温計が、風邪など熱っぽいと感じた時に測ることを目的としているのに対し、基礎体温計は日常的に使うものです。そのため、日々の基礎体温を記録してくれる機能やアプリとの連携、さらに持ち運びやすいようなデザインやコンパクトさを重視しているものもあり、どれにしようかと迷ってしまうくらいです。
基礎体温計は薬局などで購入することができます。しかし、店頭にはたくさん陳列されていますので、パッケージを見ながら、どれにしようかな・・・とその場でしばらく悩んでしまうこともあるでしょう。
いずれも基礎体温を測ってくれるという点については同じなのですが、その測り方で2つの種類に分けることができます。
測り始めてから数十秒で検温してくれるのが予測式です。これまで蓄積された膨大なデータもとに、数十秒で5分後または10分後の体温を予測してくれます。
朝はバタバタしているから出来るだけ早く済ませたいという方や、一旦、目覚めたものの朝が苦手なので、また眠ってしまうことがあるといった方に適しているタイプだと言えるでしょう。
予測式は、体温の上昇データをもとにはじき出した数値が表示されますが、こちらは実際の体温を測るタイプになります。5分または10分程度、測定時間はかかりますが、より実態に即したデータが得られます。
比較的、時間に余裕がある方や、やはり実体温を測っておきたいという方におすすめです。
発売された当初は、実測式のほうが正確だとされていましたが、今では予測式も遜色なく優秀な製品に仕上がっています。
どちらを選んでも構わないということであれば、機能やデザイン面から選んでみてはいかがでしょうか。
日々の基礎体温を測って記録するといったシンプルなものもありますが、スマートフォンやパソコンに転送してチェックできるものや、無料の連動アプリが提供されているもの。また、衛生面が気になるというのであれば、水洗いできる製品も販売されています。
基礎体温計は時々しか活躍しない通常の体温計とは異なり、毎日、長期間にわたってお世話になるものです。そのため、自宅以外に旅行先や出張先など、人目に触れる機会もあることでしょう。
そんなとき、コンパクトでデザインが可愛いものだと、一緒に持っていきやすくなりますよね。化粧ポーチに入れられるようなスマートなものや、ケースに入れると自動で電源がオフになるものもありますので、基礎体温計に抵抗感を感じているのであれば、外観から入ってみるのもひとつの手です。
基礎体温は微細な体温の変化を教えてくれるデリケートなものなので、その測り方にも気を配る必要があります。測り方や注意したいポイントを踏まえるからこそ、信頼できるデータを得ることができます。
基礎体温は、朝、目が覚めて活動する前の体温です。安静時の体温を測るわけですから、起きてから「あれ、どこだったっけ?」と体温計を探すのでは困ります。
基礎体温は、朝、目が覚めて活動する前の体温です。安静時の体温を測るわけですから、起きてから「あれ、どこだったっけ?」と体温計を探すのでは困ります。
就寝前には必ず、ベッドサイドや枕の下など、いつも同じ場所に基礎体温計を置くようにしましょう。できるだけ動きが少なくて済む位置においておくのがベストです。
また、生活リズムの乱れは基礎体温に反映されます。夜更かしをせずにできる限り、同じ時間に就寝するようにしたいものです。
“朝、起きたら動く前にすぐ測る”が基本です。
しかし、中には、勤務の関係で寝る時間が不規則という方もいることでしょう。
測るのは朝でなくても構いませんが、できるだけ毎日、同じ時間に測定するようにしてください。
また、起きてすぐ測るとき以外は、30分ほど静かに横になってから測ってくださいね。
基礎体温は、活動する前の体温を測るものです。従って、起き上がらずにベッドや布団に横になったまま測るようにしましょう。
このとき、基礎体温計は、舌の裏側の一番奥にあたる舌小帯という“すじ”のどちらか片側に入れ、口を閉じて測るようにします。口を閉じることで、外気の影響を受けずに測ることができます。
毎日、同時刻に測ることで、より正確な基礎体温を知ることができます。
計測が終わってピピピッと鳴ってすぐ起きるのではなく、きちんと体温が測定できているか確認しておきましょう。
また、手書きで記録しているのであれば、忘れないうちにメモしておきます。
基礎体温は測りっぱなしでは意味がありません。
グラフ化して目で見えるようにしてこそ、いろいろなことがわかってきます。
測定データをスマートフォンやパソコンに転送しても構いませんし、手書きでもいいので、毎日の基礎体温値をつないで折れ線グラフにしましょう。
手書きで記入する場合は、基礎体温表が必要となります。薬局やインターネット上でも無料のものを入手することができますし、クリニックで配布しているところもあります。自分にとって使いやすく、見やすいものを入手しましょう。
また、記録時に数値だけではなく、次のようなことも一緒に記録しておくと体の変化を知る一助となります。
その日の体調
月経(生理)の様子や周期
不正出血やおりものの状態
睡眠不足や測り忘れ
服用している薬の名前や期間
その日の天気や気温
夫婦生活の有無
その他、気になること
これらのことを盛り込んで作った基礎体温表は最低、3か月分は欲しいところです。
あらかじめ基礎体温の測り方についてレクチャーを受けていても、いざというときに、あれ?と思うことがきっとあるはずです。
そんなときに慌てないよう、ここでは誰もが気になる疑問や、その対処方法についてご紹介していきます。
Q.起床時間は日によって違うけど、どうしたらいいの?
A.いつも同じ時間に測っていただくのが一番ですが、それが叶わないこともありますし、毎日のことですから時間を気にしてイライラ、ストレスを感じてしまっては逆効果です。
起床時間が多少異なる程度であれば、気にせず起きたときに測るようにしましょう。
念のため、起床時刻も一緒にメモしておきましょうね。
このとき、気をつけて欲しいのが睡眠時間です。睡眠時間が少なければ正確なデータを得ることができないことがあるので注意が必要です。
Q.週末はお昼頃起きますが、問題ないですか?
A.たまの週末、ゆっくりしたいですよね。
基礎体温のために早く起きなくてはと思うのではなく、少しくらいの起床時間のずれは問題ありませんので、起きたら測るようにしてください。
一般的には、起床時間が遅くなれば体温が高くなるといったことがありますので、起床時刻も記録しておきましょう。
Q.二度寝してしまいました。どうしたらいいでしょう?
A.布団から出ず、すぐ眠りに入ってしまうような二度寝で、
なおかつ、再び眠りに入ってから4時間以上の睡眠が取れるようであれば、問題ありません。
しかし、起き上がって旦那さんの食事をつくる、ゴミを出しに行くなど活動が伴うようなときには、動き出す前に基礎体温を測っておくようにしたいものです。
Q.どうして、朝一番に測らなければいけないの?朝に測れない人はどうしたらいいの?
A.大半の方は、朝起きてから活動を開始する場合が殆どです。また、朝一で測る習慣が身につけば、測り忘れの防止にもなります。起床時に測る習慣をつけるようにして頂ければと思います。
Q.どのくらい続けたらいいのでしょうか?
A.基礎体温を測り始めた当初は、慣れない点も多いので正しく測定できていないこともあり、基礎体温表にばらつきが見られがちです。また、体調やストレスなど、ちょっとしたことでも変化が起こりますので、短い期間だけではわからないこともあります。
そのため、少なくとも3ヶ月は測定を続けるようにしましょう。
Q.夜中、目が覚めたときや、夜中にトイレへ行った時はどうしたらいいのでしょうか?
A.ふと目が覚めて再び眠りにつくようなときや、トイレに行った場合、朝の起床時までに4時間ほどの睡眠が確保できるなら、再び寝て起きたときの体温を測るようにします。
しかし、起床時間が差し迫っているようなときには、活動する前に測っておきましょう。そのときには、測定時間も忘れずにチェックしましょうね。
Q.計測を忘れた時はどうしたらいいの?
A.基礎体温は1ヶ月を通して見たとき、基礎体温がどのような変化をしているのかを知ることが大切です。そのため、忘れてしまったからと、起きてしばらく経ってから計測するのではなく、その日はお休みして次の日からつけるようにしましょう。
グラフにする場合には、その日は空欄にしておき、忘れたということを記録しておきます。ちなみに、排卵日前後は体温が変化するときなので、このときの測定忘れはできるだけ避けたいものですね。
Q.正しく計測されないこともあるのでしょうか?
A.基礎体温は、大変デリケートです。
正しい位置で測ることができていない、起床から測定まで少し時間が経っているなど、小さな因子も影響してきます。神経質になる必要はありませんが、測定時のポイントだけは押さえておきましょう。
さらに、睡眠が極端に短い、ストレスを抱えている、体調不良などは基礎体温をばらつかせます。
また、過度のダイエットもホルモンの分泌に影響を及ぼしますので、これを機に生活習慣の見直しも行ってみてはいかがでしょうか。
毎朝、がんばって測った基礎体温。そして、そこからグラフに起こした基礎体温表は他の誰でもない、あなたのことを教えてくれるツールです。
漠然と眺めているだけではもったいないと思いませんか?ここでは、手間暇かけて得られた基礎体温表を見るときのポイントや、そこから読み取れる事柄についてご紹介していきます。
心身ともに健康で、ホルモンの分泌状態に問題がなければ、基礎体温をグラフにした場合、次のような特徴が見て取れるかと思います。
●低温相と高温相の二相に分かれている
表のブルーエリアとピンクエリア
●月経(生理)の始まりとともに低温相が続き、14日ほど続く
表の赤矢印とブルーエリア
●低温相から高温相への移行は長くても2日以内
表のイエローエリア
●低温相と高温相との差は0.3~0.5℃
表全体と真中あたり
●高温相が約14日続き、再び月経(生理)が始まる
表のピンクエリアと赤矢印
しかし、必ずしも綺麗な2相に分かれていて、境目がハッキリしているとは限りません。そうではないことも多いのですが、全体を見て低温相と高温相に分かれていれば、まずひとつクリアです。
これらの特徴を踏まえた上で、ポイント別にもう少し詳しくみていきましょう。
排卵期、つまり、低温相から高温相に移行したときが排卵にあたります。
また、個人差がありますが、低温相から高温相の境目で体温が一旦、急激に下がる日がみられることもあり、これを陥落日と呼んでいます。
絶対、この日に排卵したということは言い難いのですが、低温相から高温相に移る前後2、3日の間に起こっていると考えられます。
↑ピンク色の時期が妊娠しやすい
基礎体温表から排卵日や月経(生理)時期の予測などができますので、妊娠しやすい時期などを予想することができます。
卵子の生存時間は約24時間とされていますので、排卵する直前または排卵日を選べば妊娠の確率が高まることになります。
↑ピンク色の時期が妊娠しにくい
反対に、高温期、つまり排卵がが始まってから5日以上過ぎれば、妊娠しにくいとも言えます。
しかし、毎月、基礎体温をつけていてもばらつきはありますし、体調や色々な側面にも影響されますので、必ず妊娠しないということはありません。
排卵日を境に体温は上昇し、月経(生理)が近づくと低下しますが、妊娠時には黄体ホルモンは減少せずに高温期が続きます。
そのため、高温期が3週間以上続くようあれば妊娠の可能性が高いと言えるでしょう。
そのときには、市販の妊娠検査薬で構いませんので、調べてみることをおすすめします。
28日ほどで分泌量が変化していく女性ホルモン。理想と言われるグラフから大きく外れているとき、そこには何らかのトラブルが発生しているかもしれません。
もし、次のようなグラフを描いているのであれば、少し気をつけておいたほうがいいかもしれません。
ハッキリと分かれていなくても、低温相と高温相の温度差が0.3℃以上あり、それぞれの期間が2週間程度あれば問題ありません。
しかし、平坦なグラフが続くようであれば、月経(生理)があったとしても無排卵や卵巣機能に問題が生じていることも考えられます。
また、上手く測定ができていないということもありますので、今一度、測定方法を見直してみることも大切です。
基礎体温をつけ始めたときは、グラフもばらつきがちです。
しかし、数ヶ月経ってからもガタガタのグラフが続くようであれば、排卵されていなかったり、卵巣機能が低下している可能性があります。
睡眠不足や過度なストレスも、基礎体温を変化させる要因です。
健康な状態であれば、高温期は14日ほど続くのが一般的です。
しかし、高温相に移行してから10日を経ずに体温が下がってしまった場合は、黄体機能不全の可能性も考えられます。
黄体の働きが悪ければ、受精できたとしても着床に支障をきたすこともありますので、注意が必要です。
プロゲステロンの働きが大きく影響する高温期ですが、このときの基礎体温が36.5℃以下、低温相との温度差が0.3℃未満というときは、ホルモンバランスが崩れて排卵が起こっていないことも。
また、慢性的に冷えを感じている場合は血液の循環が悪くなり、子宮や卵巣に十分な酸素や栄養が行き渡らず、機能低下を招きます。
通常、黄体ホルモンの働きによって上昇した体温は、2週間程度で黄体ホルモンの分泌低下とともに下がっていきます。
そして、月経(生理)が始まるわけですが、妊娠していると黄体ホルモンは分泌し続けますので、高温期が続きます。
通常は1、2日ほどで基礎体温が上り切りますが、黄体ホルモンが十分に分泌されておらず、黄体機能不全の場合はだらだらと体温が上がっていく様子が見られます。
また、生活習慣の乱れや冷えによる血行の悪さも影響してきます。
月経(生理)の始まりから排卵までに時間がかかれば、低温期は長くなります。
低温期が3週間以上続くようなときには、卵胞ホルモンの分泌や働きが低下し、卵胞が十分に発育できていない可能性があります。
基礎体温をグラフ化したとき、多少のばらつきはありながらも2相に分かれていて、低温期および高温期がともに14日程度であれば、理想的だと言えるでしょう。
しかし、無排卵やホルモンの分泌に問題がある場合は、2相に分かれていなかったり、分かれていたとしても、期間が短かったり長かったりします。
明らかに理想とするグラフからかけ離れている場合は、月経(生理)異常などの問題も考えられますので、不妊専門のクリニックで適切な治療を行う必要があります。
また、睡眠不足やストレス、体調の変化などによっても基礎体温は変化します。長期間に渡ることなので毎日とはいいませんが、不規則な生活や睡眠不足が連日のこととならないようにしたいものです。
また、排卵日前後は体温が最も変化する時期ですので、この時期の生活サイクルや計測し忘れもないようにしましょう。
基礎体温を測るということは、不妊治療だけではなく、婦人科系の疾患をみつけるときにも役立つものですし、月経(生理)のサイクルもつかむことができます。
まずは、義務感に縛られることなく、3か月を目標に基礎体温をつけてみませんか?
【このページを作った理由】
基礎体温表から自分の体を知ることができます。
計測の目的として「今すぐの妊娠」「将来の妊娠」「快適な生活」「ダイエット」などに役立てたいと思われている方が多いようです。
しかし、基礎体温を測りだして湧いてくる疑問や、必要な知識を医師や看護師などにに教えてもらうことができず、ネットで情報収集されている方がほとんどです。
「そんな方々に『正しく・安心』な情報を提供したい」とう気持ちから、ザクロ屋では専門の医師の監修のもと、このページを作りました。
この1ページで、基礎体温について必要なことが全て分かるように、基礎体温とはそもそも何か?ということからスタートして、排卵日や高温期のグラフ(表)や妊娠したときのグラフ(表)とその特徴。ホルモンのバランスが崩れている時、グラフはどうなるのか?計測をスタートして誰もが経験する、そもそも正常なグラフとは、どんなグラフなのか?見本となるグラフって?どんなもの?ということなど、盛りだくさんにお伝えします。
ぜひ、お役立てください。
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