■知れば知るほど引き寄せる!妊娠力UP@基礎知識講座
不妊治療を行って、なかなか妊娠しないケースを深く質問していくと、よくある原因として夫婦間のコミュニケーションがうまく取れていないケースが見られます。
今回は、不妊治療最前線を取材し、幅広い情報を扱う立場にいる私から、皆さんに伝えておきたい「一番、大切なこと」をお話いたします。
私のところには
●奥さんは欲しいけど、旦那さんはまだ欲しくないと思っている。
●不妊治療をしたいのだけど、旦那さんの協力が得られない。
●夫婦仲が良くないので、子供を作って夫婦関係も修復したい。
などなど、様々なケースのご相談が寄せられます。
まあ夫婦それぞれ、皆さんにもさまざまな事情や都合があることと思います。それについては第三者としては何も言えないし、そこの部分を指摘する立場にもありません。
ただ、夫婦が一致団結して子供が欲しいと思って先に進むことが出来るなら、それについて医療機関も我々のようなサポーターも応援が出来るのですが、そうじゃないとなかなか難しいことになります。
先日もご相談の電話をされてきた方がおられました。
年齢は40歳前、会社では管理職で、仕事にはとてもやりがいを感じている。
でも子供を授かるにはもう時間がないので不妊治療をしたいと思っているが、仕事が忙しくて、継続的に通院しづらい。仕事も休みたくないし、かといって子供も欲しい。
夫にも協力を仰ぐが、自分の仕事の都合と相手の仕事の都合を考えるとなかなかタイミングが合わないので初診にもいけない。
どうすればいいでしょうか?
という質問でした。
この場合、まず私が聞くのは「あなたにとって子宝を授かることの重要度はどれくらいですか?」という質問になります。本気度というか覚悟の問題ですね。
この方が20代や30代前半なら「行けるときに行けばいいんじゃないですか。」というと思いますが、 40歳になろうかという女性に猶予の時間はありません。
本当に欲しいなら今すぐにでもクリニックに行って、自分が出来る最善を尽くして、ようやく授かるかどうかというレベルです。授からない可能性の方が高い年齢ですから。
でも30代後半や40代前半の女性にこういう質問をされる方が多いのは、本当に驚くべきことです。頭の中では 「自分の身体は20代からそんなに機能が落ちていない」という勝手な思い込みがあるように思います。
見た目は若くても細胞レベルでは間違いなく、2倍生きている訳ですから、それだけ年をとっているのです。
上記の彼女にこのことを説明し、「何を大事にしたいと思っているのですか?優先順位を教えてください」と聞いたところ、結局、「子供は出来ても出来なくても良い」との事でした。
「旦那さんはどう思っているのですか?」と聞くと、「欲しいと思っている」とのこと。
でも、そういう会話を正面切って話し合っていないようでした。
こういう話を延ばし延ばしにして、結局授からなくて、夫婦二人の人生を選ぶ人が、意外に多いのです。
最近、最前線で治療されている先生方が「35歳までの妊娠」を推奨されています。
妊娠で最も大事なのは卵子。その卵子も年を取るのですよ~と様々なメディアで話をされていますが、なかなか一般的に伝わっていないのが現実です。 今年の2月、私はNHKのあの有名な青山祐子アナウンサーに取材を受けました。
その時に彼女も不妊の取材を進めていくことにより、「今まで卵子が年を取るなんてことを知りませんでした。もっと早く知っていれば、結婚も出産も早くしようと思った。」と言われていました。
敏腕アナウンサーですら知らない訳ですから、一般的に知られていないのは推して知るべきでしょう。
その青山アナも10月にご懐妊のニュースが舞い込んでいました。あの取材がきっかけで子作りは出来るだけ早く取り掛からないといけないと気づいて、すぐに行動に移された結果なのだと思います。
不妊症や不妊治療は、人生の一種のテストだったり、一つのバロメーターだったりします。
不妊が様々なことを露呈します。
身体の不調・健康状態
生活習慣の不摂生
食生活の乱れ
夫婦間のコミュニケーション(夫婦仲)
仕事と家庭の価値観の確認
など、今まで、なあなあにしてきたことをすべて明確化してしまうのです。
そして、「あなたは今後の人生をどのように生きるのですか?」と問いかけられるのです。
だから不妊の問題が出てきた時にそのままにしておくことは、問題を先延ばしにしているだけで何の解決にもなりません。時間が過ぎればすぎるほど選択肢は減り、最後にはニッチもサッチもいかなくなり、分っている答えに決着をつけなければならない時が来ます。
どちらにしてもその問題に向き合わなければならないのであれば、「今」から向き合い、解決に向かって動くことをお勧めします。いつか解決しなければならないのであれば、すぐにやってしまうのが最も賢い方法です。
不妊の場合、年齢と身体の問題があります。今があなたの人生で最も若い時です。1時間過ぎれば1時間年をとっているのです。だから夫婦で子供を授かることが大事だと思ったならば、1秒でも早くその方向にむけて努力することが重要です。
旦那さんが協力してくれないなら、正座して、本気で真正面から相手を見て、「子供が欲しい」と言ってみてください。まだいらないという旦那さんがいたら、同じように姿勢を正して、「なぜそう思うのか?」を真剣に聞いてください。
真剣に問いかけ、お願いをしなければ人の心は動かないものです。家族だからわかるだろうというのは幻想です。夫婦の場合はもともと赤の他人ですから、しっかりと言わないとわからないこともあるのです。
妊娠・出産については、男という動物はよく分らないから避けたい話題なのです。
その避けることに女性が付き合う必要はありません。
真剣にまじめに話し合う機会を作ること、これは妊娠だけではなく、今後、人生の様々なシーンで必要なことです。出産もそう、育児でもそういう場面が、何回となく出てくると思います。
<最後に>
今日、このコラムを読んだ方はぜひ、夫婦のコミュニケーションは愛を語るだけではないことを理解して頂き、たまには真剣に話し合って、納得のいく結果を導いてほしいなと思います。
■コラム執筆 池上文尋 氏
オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。