24、原因不明の不妊症について

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第24回: 原因不明の不妊症について

今まで様々な原因をあげて解説を行なってまいりましたが、実を言うと一番多いのは、原因不明の不妊症なのです。不妊症だけでなく、高血圧など他の疾患でも原因不明といわれることが多いのです。医学はどんどん進化して、検査法も治療法も様々な方法が出てきたのですが、それでもわからないことが多いということですね。

原因不明不妊の治療について

原因不明だと治療をどうすればいいか分からないのではないか?という質問をされる方がおられますが、今の不妊治療では、やり方がある程度決まっています。

オーソドックスなのがステップアップ治療法ですね。
タイミング療法
  ↓
クロミッド療法
  ↓
HMG-HCG療法 (※)
  ↓
人工授精
  ↓
体外受精

という形で段階的に進んでいきます。
原因がわからなくても治療を施し、どこかで妊娠してくれればよいなという発想です。

もちろん、原因が特定されていればスムーズに効果のある治療法を選択出来ます。
例えば、卵管が両方とも閉塞していたら体外受精の適応になりますし、子宮内膜症だったら先にそちらの治療を優先するという具合にです。

なぜ原因不明と診断されるのでしょうか?
それは、まだわかっていない因子があるということと、複合した原因は測定しづらいということがあると感じています。
特にまだ分かっていない因子については、研究が進んでいますが、まだまだ時間がかかるようです。

HMG-HCG療法とは?
「クロミフェン+タイミング療法」で妊娠しなかった場合、次のステップに進むとHMG-HCG療法に移行します。HMGの薬剤には卵の入った卵胞を育てる作用があります。それをこのホルモンで育てて、卵胞の大きさが約20mm~22mmになるとHCGを投与し、排卵を促す治療法です。

原因不明不妊とその要因について

ここで私はあえて、その因子に生活習慣などの要因が大きく関わっていると考えています。
その理由は、東邦大学名誉教授の久保先生が設立された「不妊予防協会」の中で、このように書かれているからです。

「不妊の原因は男女の生活環境、不健全な性行為による感染症、喫煙、飲酒習慣や過度なダイエットによる月経不順、卵巣機能不全、肥満、潜在性糖尿病などの生活習慣病や子宮内膜症、子宮筋腫、あるいは、晩婚、晩産に伴う加齢など、後天的な理由による不妊が全体の80%以上を占めており、先天的な問題による予防不可能な不妊はごく僅かであります。」と。

原因不明の不妊症には、上記の原因が単一、もしくは複合的に絡み合い、引き起こされている可能性があります。

では、原因不明の不妊症を効果的に治療するためには、どんな条件が必要なのでしょうか?
それは単純明快です。
生活習慣や生活環境を、ひとつずつ改善することです。

特に、喫煙など明らかに妊娠に悪影響を及ぼするものを減量、中止することが大事ですし、生活習慣病をはじめとする生活の不摂生を是正することが妊娠への早道となります。

これらの基礎的な条件をきちんと整えずに治療だけで妊娠することも、もちろんあります。
しかし、妊娠だけが目的ではないはず。

妊娠を無事に終え、出産し、育児していくことが目的である以上、身体を健康に保つこと、 生活習慣を改めることはすべてに影響を与えます。
喫煙していても、「友人は妊娠できたから、私も自分を変えない。」という方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

タバコの害で流産の率が上がり、うまく周産期をこなしても、赤ちゃんは小さく生まれてくる可能性が高まり、生まれてからも授乳や受動喫煙で子供の健康に悪影響を及ぼし続けます。
そういうナンセンスなことは止めるべきだとわかりますね。

原因不明で出口のないトンネルのように感じる方へ

さて、原因不明の不妊症の場合、よく問題になるのが「原因もわからないし、いつまで頑張ればいいのかもわからない、出口のないトンネルを歩いているようなものだ」と言われる方が多いことです。

しかし、原因がはっきりしていても妊娠に至らないことも多く、実は原因というのは意外と様々な要因が関係していることが推測されます。

だから、 不妊症を機に自分の身体や生活習慣、環境を見つめ直すという方が増えます。
これにとても意味があるのではないかと感じております。

不妊治療は、神様がくれた良い人生を送るための啓示のような気がするのです。
そこをきちんと真摯に受け止め、自分なりの考えと行動を起こすことにより、人生のクオリティを上げるのではないかと思うのです。

子供が出来る出来ないも、それ自体が幸せとか不幸せの問題ではなく、その時に家族とは何か?
子供とは夫婦にとってどういう存在なのか?
を確認するチャンスなのかなと思います。

<最後に>

多くの方が、“原因不明”と言われるとなんだか不安になったり、ドクターから突き放されたように感じる人が多いようですが、実は一番多いということを知って頂くだけでホッとされることと思います。

原因不明だけど妊娠までの期間が長いかというとそうではなく、どこで妊娠するか分からないという面も持っています。

よって、これまでに書いたとおり、《自分の生活を見直し、しっかりと治療を受けて、赤ちゃんがいつ来てくれてもいいように準備する》そういう気構えが大事かなと思います。

■コラム執筆 池上文尋 氏

オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。

池上先生のイラスト
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